仕様 超省エネ住宅

超省エネ住宅 自邸の仕様や設備など技術資料まとめ

投稿日:2018年3月30日 更新日:

超省エネ住宅のブログを開設して9ヶ月。

自邸の仕様や設備をまとめた技術資料を公開しておこうと思います。

竣工は2013年6月。
私は施主として参画したわけですが、本当に多くの方が力を結集させて実現したプロジェクトでした。

CLT(Cross Laminated Timber)に土壁パネルと木質繊維断熱材を層状(レイヤー)に重ねた、自然素材による透湿性と断熱性と蓄熱を兼ね備えた建築構想は今でも画期的だと思います。
当時まだCLTで建築確認をおろすことは難しく、この企画の発案者であるSwiss Building Components のRene Paulさんの構想を日本でカタチにすることはとてもチャレンジングな取り組みでした。さらにスイスのミネルギーP基準とECO基準を同時に満たそうという非常にハイレベルなものです。

当時はサッシや換気設備で高性能な国産品はまだまだ少なかったので海外製品も使わざるを得ませんでしたが、現在なら国産品で十分に実現できるレベルと思います。

ということで、早速ですが超省エネ住宅を目指した自邸の建築概要です。

■超省エネ住宅 技術資料

■建築概要

敷地面積 231.48㎡ (70.02坪)

延床面積 129.45㎡ (39.15坪) ※居室面積 97.64㎡(29.53坪)
     熱損失対象床面積 102.82㎡(31.10坪)

構  造 木造2階建 リグノトレンド工法(CLT=Cross Laminated Timber)

工  期 平成24年8月5日〜平成25年6月27日

設計監理 一級建築士事務所 有限会社松尾設計室

施  工 株式会社秋村組

企  画 Rene Paul Swiss Building Components Ag

■仕様/設備/部材

目  標 冷暖房・給湯・換気設備のエネルギー消費量が一次エネルギー換算で30KWh/㎡・年以下(1㎡あたり原油換算で約3.0L以下)

断熱性能 Q値換算=1.6 (W/㎡K) 外貼り断熱工法 Ua値 0.3 (W/㎡K)以下

気密性能 隙間相当面積 C値=0.40c㎡/㎡ (9.8pa差圧)
50paの差圧をかけた状態の通気量と気積の比 0.57<0.6 (基準値)

基  礎 耐震地中梁ベタ基礎+防湿アスファルト仕上(コンクリ—ト天端)

床下断熱 木質繊維断熱材140mm(= 70+ 70) 床下敷込(二重)一部フォ−ムグラス

屋根断熱 木質繊維断熱材220mm(=120+100) 外貼(二重)

外壁断熱 木質繊維断熱材180mm(=100+ 80) 外貼(二重)
     木質繊維断熱材は(株)木の繊維 ウッドファイバーLD(国産針葉樹)
     熱伝導率 0.038W/m・K ※高性能GW16kg/㎡相当

窓    木製断熱サッシ(国産スギ材:XPSなし)ドイツPazen社 Premium
     Low-Eトリプルガラス(ノンアルゴン)
     平均U値(熱抵抗値)=0.6~0.7 G値(日射取得率)=0.6
玄関ドア 木製断熱ドア(国産スギ材:XPSなし) ドイツPazen社製

換気装置 第1種セントラル熱交換型換気(顕熱) Zender社 ConfoAir
     熱交換率90% ※浴室、キッチンに局所換気(同時給排型)を併設

空調設備 温冷水循環システム(定格出力4.0kW 20畳用ヒ—トポンプを熱源に)
     HR-Cラジエ−タ− + ヒ−トポンプ熱源(三菱電機製 エコヌク−ル ピコ)

給  湯 太陽熱利用ガス給湯システム 集熱パネル4㎡+貯湯タンク200L
     CHOFU製 エネワイター 「ECOゆ」機能付

P   V サンテックパワー 定格出力4.29kW 予想発電量4,300kWh/年

H E M S Panasonic エコマネジメントモニタ (電気+水道+ガス)

防  蟻 ターミメッシュ工法

■仕上

屋  根 ガルバリウム鋼板 たてはぜ葺 + 透湿系ルーフィング

外  壁 国産杉ジョイントウォ—ル(中本造林)  ウッドロングエコ塗装仕上

床  材 1F ナラ無垢板 幅180mm t=15mm リボス社アルドボス塗装仕上
     2F 桐無垢板  幅120mm t=15mm 同上
     トイレ、洗面脱衣 コルクボード リボス社アルドボス+クノス塗装仕上
     和室 畳

階  段 ナラ集成材/パイン集成材 リボス社アルドボス塗装仕上

内装仕上 Clay Panel(t=14mm) + Clay Plaster + Clay Paint (Made in Clay社製)
     ※一部スギ板貼

照  明 LEDおよび蛍光灯

■プロジェクトを振り返って

当時仕事で大変お世話になっていた松尾さんや高宮さん、秋村組の岸本さん、野村さん、そして友人のYorkさんと、このプロジェクトをきっかけに大変お世話になった後藤さん、構造の宮田さん、ピーエスの平山社長、滋賀原木さんをはじめとした本当に多くの方の力が結集されたプロジェクトでした。

残念ながらRene Paulさんはこのプロジェクトの完成を見届けた後、約半年後に亡くなられました。まだ小さなお子さんもおられてこれからというタイミングで、突然のことで本当にショックでした。

建築士であり、起業家、実業家でもあったReneさんを尊敬していましたし、施主として参加させてもらったことを今でも感謝しています。
Reneさんの先進的なコンセプトがカタチになった住まいとして、これからも大切に住みついでいきたいと思います。

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