今夜のリビングダイニングは室温22.5度、湿度58%。
快適ですけど、「あったか~」という程ではなく、勉強がはかどりそうな感じです。
暖房はまだいれていません。
その暖房はピーエス社のHR-C:放射冷暖房システム。
導入を検討すると、まずコストの壁に直面すると思います。
今日は、その壁をどうクリアするかについて
コツと熱源の話から書いていこうと思います。
ピーエスのHR-C(輻射式)放射冷暖房は
エアコンと違って熱を風で運ぶことはできませんが
「日射を適切にコントロールした
高断熱・高気密の住宅では
各階に1台ずつ設置するだけで
健康快適で省エネな家づくりになる」
というアプローチは有効です。
つまり、
・適切に日射取得、日射遮蔽ができる軒や庇、窓の設計をする。
↓
・断熱仕様を高めて、必要な暖房エネルギー量を減らす。
↓
・設備の数は少なく、能力は小さく、機能はまとめる。
という流れです。
私達の家は延床103㎡、30坪程ですが
このアプローチによって導入費用を約半額に節減できました。
エアコンとのコスト差が小さくなると一気に
導入が現実的になりますよね。
また、熱源にはエアコンを省エネ機器にした立役者である
「ヒートポンプ」を採用できます。
エアコンがランニングコストを抑えられるのは、
このヒートポンプのおかげ。
ピーエス社のHR-Cとエアコンとの光熱費の差は、
性能よりむしろ使い方によって左右されるぐらいまで小さくなります。
ピーエス社のHR-Cを本格的に検討し始めた2010年当時、
大手ハウスメーカー程度の性能(当時の次世代省エネ基準相当)だと、
4LDK40坪ぐらいの家で400万円以上するのが普通と言われました。
2000万円台の家にとって、
まさに「高嶺の花」。
壁掛エアコンなら露出配管で全室つけても量販店手配なら100万円以下、
建築時に隠蔽配管でリビングダイニングに天井ビルトインモデルのエアコンを
選択しても200万円はまず超えないでしょう。
また、高いのはイニシャルコストだけではありません。
輻射暖房という意味では赤外線ストーブと一緒です。
・近いほど暖かい。
・室温の設定(制御)は難しい。
・充分な能力があれば部屋全体を暖められる
という特長は共通しています。
部屋全体、家全体を輻射暖房だけで温めようとすると、
断熱性能が悪いとランニングコストが非常におおきくなります。
そのためほとんどの方はエアコンやファンヒーター、
石油ストーブなど他の暖房機器と併用されていると思います。
HR-Cそのものは静寂なだけに
最大の魅力である「静けさ」という意味では、少しもったいないのですが。。。
秋から冬、冬から春には入る時期にはつける日と消す日もありますが、
冬の間は一日の中で、オン・オフすることはまずありません。
ラジエーター内の通水温度が一旦下がってしまうと、
ふたたび上げるにはエネルギーを多く消費するため
光熱費が非常にかかります。
エアコンと同じで冬場の朝につけたときに
一番エネルギーを使うのと同様です。
エアコンはヒートポンプによって室温を一定に保とうとするのに対して、
HR-Cはラジエーターパネルに流れる水温を一定に保とうとします。
水温調整は可能ですが、こまめに上げ下げするようなものではありません。
冷房も基本的に使い方は同じくつけっぱなし。
機器の中を流れる水温は一定で、
朝晩の温度変化を全体的に底上げ(下げ)する感じですね。
昼夜の外気温の変化にあわせて
家の中の室温がゆるやかに上がり下がります。
そういう意味では、より自然のリズムに近いかたちで
快適さを提供しているとも言えます。
かつて電気の力で直接温めたり冷やしたりしていた時代、
放射冷暖房はランニングコストの面でも、まさに「高嶺の花」と言われていました。
そこに空気の熱を活用して温水と冷水をつくることで暖房も冷房もこなす
ヒートポンプが登場し、省エネ化を実現する技術として確立されたことで
輻射冷暖房は一般家庭でも手の届くところにやってきました。
ヒートポンプそのものはエアコンでも普及しているものなので、
充分にスケールメリットが出て安価です。
ただし、床暖房や輻射暖房用などの
温水や冷水を循環するタイプのものは
容量が大きいものしかありません。
30畳用や40畳用、60畳用など。
私達が採用したタイプは40畳タイプで40万円程度のものです。
製品は三菱電機のエコヌクールピコの密閉式を採用しました。
家全体まるごとの冷暖房を賄う熱源としてはそれほど高くありません。
では、いったいなににそんなに費用がかかるのか。
たとえば密閉式の場合は、アイキャッチにもあるこんなタンクが必要になってきます。
次回はコストの中身について具体的に説明しようと思います。