超省エネ住宅 本気のトラブル上級編、木製サッシまわりの雨漏りトラブル後編
ということで原因究明の経過を書いていきます。
2013年6月の竣工後4ヶ月で経験した木製サッシの雨漏りトラブル。
(値段が張ったので)気合い入れて選んだ高性能なサッシからの雨漏りだけにショックも大きかったです。。。
ただ海外製サッシだからといって水密性や排水性能に不具合があったわけではありません。
サッシの排水穴がコーキングで塞がれていたという施工上の手違いで雨漏りとなりました。
木製サッシまわりからの雨漏りの原因は明らかとなり、住宅瑕疵担保保険によって内装のやり直しも含めて解決済です。
ただ、原因が特定されるまでは本当に気が気でなかったですし、雨が降るたびにどきどきしていました。
雨漏りトラブルがいかに心理的負担が大きいものか、実感しました。
ということで、どのように問題点を絞り込んだのか、
どうやって解決に至ったのかについて書いていきます。
同じように木製サッシの雨漏りトラブルで悩んでいる方がいたら、同じような境遇の人がいることを知って欲しいですし、何か参考になることがあればうれしいです。
台風は雨が長時間たくさん降り、風が真横から下から強く吹きつけます。いつもの雨とは大違いです。
つまり、台風はトラブルメーカーですが、家の問題点を洗い出してくれるきっかけとも言えます。(超前向きに言うと。)
雨漏りそのものはトラブルでしたが
「早いタイミングで見つかって良かった。」
というのが本音です。。。
逆に言えば、台風のような環境を再現して、雨漏りを起こさせるのはなかなか大変です。
台風が運良く(?)もう一度きたとしても、施工会社の方がタイミングよく立ち会ってもらえるとは限りません。
なので、原因にもっとも近い存在である住まい手自身の「問題を発見しようとする気持ち」は大切です。
通常の雨の時に、台風の時にみられた「トラブル」が再発していないかを確認しましたが、なかなか確認できませんでした。
たまたまラッキー(?)なことに、1ヶ月後にもう一度台風がきたのですが、
風向が北ではなく南からだったので大きな雨漏りにはなりませんでした。
でも、雨風が強くふきつけたサッシの部屋側角に水シミが出来ていました。
そのことからサッシの排水不良に問題がある、ということは推測できました。
それもこれも台風のおかげです。もちろん台風のきた夜はなかなか寝つけませんでしたが。
さて、台風一過。その後はひたすら休みの日になれば調査と実験です。
うちの木製サッシはアルミクラッドという耐候性を高めるパーツがついています。
このパーツとガラスの間には黒いゴムのシーリングがうってあり、防水性があります。
しかし、アルミクラッドの角の部分は「トメ」のカタチで成形されています。
紙ひこうきを折り紙でつくるときに、
折った紙と紙とがギリギリ接しているような、あんな感じです。
ふたつのアルミのパーツが高精度に接しているのですが
隙間は開いています。
サッシにふきつけた大量の雨がアルミクラッドの表面を流れてここから水が入る可能性があることは間違いないと考えました。
ということは、ここに入った水はどこからか、排水されるはずです。
次に、サッシを開けてみます。
木製サッシにはいくつか開けるパターンがあります。
内びらき、内だおし、というドレーキップという種類が多いです。
内だおしのみのキップのタイプのものもあります。
うちはドレーキップがほとんどです。
で、内開き窓の特長である気密性の高さとも関係するのですが、
写真のように、窓の枠が窓の開く部分(障子)よりも外側にあります。
そのため、うちの木製サッシでは
窓を伝った水や、先ほどのアルミクラッドを通じて入った水は
一旦窓の枠よりも部屋側に入る構造になっています。
そのためにこの写真の黒いゴムパーツがついています。
このパーツが水の受け皿となり、室内に漏れてこないようになっているのです。
この黒いゴムのに水を流してみる実験をしてみることにしました。
すると、驚いたことに
なんと水が排出されず、満杯になってから室内側に溢れてしまうのです。
これは、おかしいぞ、と。
本来なら必ず、どこかに穴が開いているはずなのです。
しかし、上から見ても横からみても、穴は開いていません。
「うーん、これは商品に構造的な欠陥があることになる。」
と考えました。
しかし、今でこそつぶれてなくなってしまったドイツのPAZEN社の製品といえ、
いくらなんでも排水されない商品はドイツの気候でも成立しないはずです。
それで、黒いゴムのパーツの水をいったんすべて拭き取り、水をゆっくり流す作業を繰り返しました。
すると、どうも水を注いだ時にほんのわずかですが水が流れる方向があることがわかってきました。
その流れる先の付近に水を流すと、水が黒いパーツの深いほうにちょっと流れていっているように見えました。
パーツの上に水がたまるスピードがほんのわずかですが、ゆっくりなのです。
流した量=溜まる量
になるはずですが
流した量>溜まる量
という印象がありました。
そんなことをくり返すうちに、
木製サッシの枠の室内側にあるこの黒いパーツの深い部分にはおそらく穴があるのだろう、と推測しました。
そんなことを別の窓でもくり返しているうちに、
おそらく
「窓枠の下に施工されているグレーのコーキング周辺に問題があるんじゃないか」
と、半ば確信めいた思いがわいてきました。
こちらはコーキングがある状態の写真です。
今も、ほとんど雨のかからないトイレの窓にだけ、このコーキングが残ってます。
窓の下枠のアルミクラッドの下にグレーのゴムっぽい帯がありますよね。これがコーキングです。
このコーキングを思い切って剥がすことにしました。
雨が吹き降っても、ほとんど濡れないだろう軒のかかった1階の大きなサッシの下のコーキングで試すことにしました。
もし問題がみつからなかったとしても、その時はもう一度コーキングを打てばよいのです。
で、コーキングを剥がそうとするのですが、これがまた素人ではとても大変な作業でした。
最終的にはカッターとホームセンターで買った、細いヘラのようなものでこそげるようにしてとりました。
それで、意気揚々と木製サッシの例の黒いゴムのパーツの上に水を流しました。
「あれ、、、、排水されないぞ。。。???」
ということはここじゃなかったのか、、、と落胆しかけたのですが、
念のため、コーキングを剥いだ箇所を下から指でなでていきました。
すると、なんとなく冷たい感じがしました。
あ、これは水の冷たさだ、と直感しました。
それで、今度は上向きにマイナスドライバーで、剥いだコーキングのあった箇所を下から突いていきました。
例の、黒いゴムのパーツの水が落ちてたまっているような場所を、ゴリゴリと。
すると、じわっとゴムの外側に水がしみてきました。
そうです。そこにサッシの排水穴があったのです!!
木製サッシの黒いゴムのパーツに水を流すと、ここから排水されていきます。
調べて行くと、サッシには3カ所の排水穴があいていることがわかりました。
この時は思わず泣きそうになるほど、感動しました。
ついに原因をつきとめたということ、そして直し方がわかったことは本当に嬉しかったです。
写真はコツをつかんだ後の補修部分を最近撮影したものです。
水を流すとちゃんと流れています。
ドイツ製のサッシも、ちゃんと水密性や排水性は考えられていたのです。(あたりまえですよね。。。)
そして、その他のサッシのコーキングもすべて施工会社に剥ぎ取ってもらいました。
キップやフィックスのタイプはサッシを内開きにして穴の位置を確かめることができないため、基本的に全部剥がしてもらっています。
必要のないコーキングをうって剥がしたので、見栄えは少しきたないですが、木製サッシから雨漏りすることは無くなりました。
木製サッシの雨漏りは、施工ミスによる排水不良が原因でした。
不必要なコーキングが、排水を妨げて、オーバーフローした雨水が室内に流れ込んでいたのです。
それが大量の雨風をたたきつける台風によって明らかにされた結果、雨漏りトラブルとなりました。
施工会社のミスではありますが、一方で新しい商品を導入する場合や、施主支給する時には起こりうることだと思います。
施工会社の監督を務められた方は一級建築士で非常に経験が豊富で研究熱心な方でしたし、その方がいたから、この家を建てることができた、と思っています。
最終的には、信頼関係がちゃんとあったことが何よりの支えになりました。
問題の解明後は早期に修繕していただけて、感謝しています。
雨漏りは残念でしたが、台風が早期に発見させてくれたことは幸運(?)だったんだと考えています。
施主はもっともその現象に近いところにいます。
あきらめずに粘り強く観察して、根本的な原因を突き止めることが大事かなと思います。
実は、この話には後日談があるのですが、それは後日改めて
「超省エネ住宅のトラブル 超級編」ということでご紹介したいと思います。
ご期待(?)ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今夜のリビングダイニングの気温は21度、湿度47%、快適です。
妻が飾ってくれたバイモユリがきれいです。
地元の桜も咲き始めました。いっきにほろこんできています。
京都は満開でした。いよいよ春ですね☆