知っておきたいこと 光熱費 超省エネ住宅 節約

省エネ住宅なのに光熱費が高い?失敗の理由

投稿日:2017年10月31日 更新日:

今夜の室内環境は23時現在のリビングダイニングは23度、湿度49%。
暖房温水は28度です。快適ですが、湿度が50%を切ってきました。

今朝は今年一番の冷え込み。室内環境にも影響が出てきましたね。

さて、今日は
省エネ住宅を建てるぞ、光熱費を節約するぞ!
と意気込むと失敗する理由を書いていこうと思います。

きっかけは、他の方の省エネ住宅のブログで
光熱費が予想よりかかっているという記事に出会ったからです。

家づくり全体が失敗だ、とは書かれていません。
全館空調で快適だが、光熱費は思っていたより
引越し前よりかかってしまっている、ということでした。

ハウスメーカーも含めて住宅の性能も底上げされ
様々な光熱費や一次エネルギー消費量などの
シミュレーションも普及してくるなかで、

省エネの側面、

特に光熱費で

期待>現実

のギャップが生まれるとすれば、その理由は何なのか
気になりませんか?

ひとつ、明らかなことは

省エネは効率性に優れるだけで
使用する時間や空間が増えてしまえば
総量を抑制できるとは限らない。

ということです。

つまり、省エネの大本命である断熱性能(=効率)にばかり関心が向きすぎると
失敗してしまう可能性がありそうです。

家づくりで失敗したくないのは、
なかなかやり直しがきかないから、ですよね。

以前書いている2つの記事でも
失敗しないために知っておきたいことについて触れていますが、

超省エネ住宅で失敗しないために知っておきたいこと。【前編】
⇒スペックを鵜呑みにしないで現地を訪ねて自分なりの快適さのものさしをつくること、

超省エネ住宅で失敗しないために知っておきたいこと。【後編】
⇒省エネを目的化しないこと。

「実際立てて住んでみないとわからない」
というところが家づくりの難しさではないでしょうか。

お金があればやり直し=建て直せば良いですが
ほとんど人はやり直せないので、真剣に考えるのだと思います。

真剣に考える程、気になるのが建てた後の生活費。
特にローンと光熱費ですよね。

断熱性能を高めると省エネになり
光熱費が節約でき快適になる。

それなら、浮いた分を建築費にまわそうという
流れになるほど世の中で省エネ住宅が支持されるのは
自然なことかもしれません。

■では、省エネ住宅での失敗とは具体的にどんな状況でしょう。

思っていたほど・・・
 「温かくない。」
 「涼しくない。」
 「快適でない。」
 「光熱費が安くない。」

などでしょうか。

いずれも期待と現実のギャップによって失敗だと感じています。

このうち、

「暖かさ」
「涼しさ」
「快適さ」

については、期待と現実のギャップを埋めるために
冒頭で紹介した「快適さの自分のものさしをつくる」ことが
有効です。

そんな自分のものさし通りの環境が実現できた後に初めて気づくのが

あれ、思っていたほど

「光熱費が安くない。」

という問題ではないでしょうか。

■本当に「家は、性能。」なのか。

光熱費の節約は「省エネ」=住宅の性能で決まる、
という最近の風潮や固定観念が原因になっているように感じます。

例えとして、

「マンションの中部屋(※)の快適さを知っている人は
新築住宅では寒く感じるから、しっかり断熱しないと。」

という話があります。

※マンションの中部屋とは、
 RC(鉄筋コンクリート)造2階以上の部屋で
 上下左右が住人がいる部屋に挟まれている部屋。

この例えも誤解を生みやすいと思うのですが

仮に新築住宅がマンションの中部屋と同じぐらいの快適さを
実現する性能をもっていても

・広さが変われば、快適さを維持する光熱費は変わる。

・家族構成の変化でも光熱費は変動する。

・ライフスタイルの変化でも光熱費は変動する。

・快適さに慣れると、求める快適さのレベルは更にあがる。

・空調方法が個別(局所)空調か全館空調かによって
光熱費に圧倒的な影響を与える。

という当たり前のことなのですが、
家の性能以外の変動要素に大きく左右されます。

建て主(住まい手)が

・そろそろ手狭だし戸建てに引っ越そう

・子どもが生まれるから新築しよう。

・今は夫婦2人だけど、子どもは2人以上欲しいな。

・高断熱の住宅だから全館空調でもお得らしい
 ※営業がそう説明しているなどを含む。

・同じ光熱費なら更なる快適さを求めてしまう

というような場合、

もともと住んでいる環境での光熱費実績をもとに
新しく住む環境での光熱費シミュレーションをおこなったとしても

新居での光熱費がシミュレーションどおりの結果になるかどうかは
正直な所、建築士や設計士ですら、予測することは困難と思います。

さらに、根拠となっている一次エネルギー消費量の計算結果は
あくまで「平均」ということです。

節約が上手な世帯も、全然できない世帯もいる中で、
全部を平均した値=基準に過ぎません。

つまり、実際の光熱費には、性能だけでなく
ライフスタイルが大きな影響を持っているということです。

以前友人のドイツ人の建築物理学の先生が
パッシブハウスの消費エネルギー量のグラフを見せてくれましたが、

エネルギー消費量の多い世帯と少ない世帯の値に非常に大きな差があって驚きました。

その時、

平均すると、

パッシブハウスの基準としている消費エネルギー量に非常に近い数値になる。

これが基準の大切さなのだ、

と解説してくれたことを記憶しています。

つまり、

パッシブハウスのような厳格な基準に基づいた建物でも

エネルギー消費量が期待を下回るか、上回るかは

断熱性能だけでなく、住まい手のライフスタイルによっても大きく影響を受ける

ということです。

断熱性能が高まれば、その変動が小さくなるような
イメージがあるかもしれません。

しかし、

省エネは効率性に優れるだけで

使用する時間や空間が増えてしまえば

総量を抑制できるとは限りません。

これが省エネ住宅の本質であり、重要なポイントだと思います。

■省エネ=性能=光熱費節約と考えている場合、失敗するリスクが高い。

光熱費の削減量が自分の期待を上回るためには、

断熱性能だけでなく

部屋の広さや暖房方法

家族構成やライフスタイルの変化

設備機器の利用の仕方

などの他の影響が大きいことを自分達家族はどうなのか

よく理解しておく必要があります。

そうでないと、シミューレーション上で浮いた光熱費を見込んで
建築費に無理してまわしてたり住宅ローンの返済額を増やしたりすると
ライフスタイルが変化するとなかなかしんどくなるはずです。

うーん、書いていて、自分もあてはまるかもしれません。笑

省エネは効率性に優れるだけで
使用する時間や空間が増えてしまえば
総量を抑制できるとは限らない。

皆さん、是非失敗しないようにしてください。

-知っておきたいこと, 光熱費, 超省エネ住宅, 節約

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